駄文置き場、則ちゴミ箱

書きたいもの書きます

恋と愛とただの馬鹿

 彼女が欲しい、彼氏が欲しい、もしくは恋人が欲しい、そのように思ったことは誰でもあると思う。俺だってそう思ったことはあるが、果たして本当にそれは彼女が欲しい、という感情なのだろうか。

 恋愛に臆病な俺は今まで自分の恋の話を一度もしたことが無かった。もちろん相手が近くにいた、というのも一つにはあるが。そろそろ時効だろうし一度吐いてゴミ箱に捨てておくのが自分のためだと思う。多分、きっと。ついでに言えばこれに関しては誰かに見られて咎められた方がいいんだろうとも思う。自分からこのゴミ箱を晒す勇気はないけれど。

 

 いわゆる初恋、という奴は正確にはいつだったかは思い出せない。というのも親によれば幼少期の俺は野原しんのすけもびっくりな女好きだったらしい。綺麗な女性を見かければいつの間にかそちらについていったんだとか、今の俺には到底真似できない。というか一歩間違えればストーカーで通報される。覚えてる限りで初めてのちゃんとした恋は小1か小2のころ、同じクラスの女の子をかわいいと思ったときだろう。今思えばそこまで顔がよかった訳でもないが、まぁ幼少期の感性など理解しがたいものというのもよくある話だ。誰に話したか忘れたが通学路で誰かに耳打ちで打ち明けた時、どうやら近くを通った本人に聞こえたらしい。そのあと彼女から「へぇ私のこと好きなんだ」とからかわれた時、俺の恋心は一気に冷めた。これが淡い少年の初恋の全て。ちなみに普段の声が聞き取りにくいほど小さくなった要因の一つでもあると自分では推測している。

 次の恋は小3の時、とある女の子が転校してきた。一目惚れというやつだった。彼女は成績優秀文武両道でもってかわいいときたいわゆる高嶺の花だった。転校してきた、ということから察しがつくだろうが彼女の家庭は転勤族、小4の終わりに転校していってこの恋は終わり。人見知りの初心な少年に何もできるはずが無かった。

 そして今までで最後の恋が始まる。多分この恋をしたこと自体が失敗だったと思う。当時の俺は好きな人というパラメータは絶対に必要な物と思い込んでいた。そこで好きな人が居なくなってしまったことを皮切りにその時クラスにいた可愛い子を好きな人に選んだ。正直動機は全く持って不純だと思う。それでも「好きな人」というフィルターをかけた彼女は今までよりも魅力的に見えた。一挙一動が今までよりも目に入るようになり、彼女の性格もよく知ることができた。中学に入り、彼女は女子バスケ部に所属、俺は男子バスケ部に所属したことで会う機会も増えた。話す機会も前よりも増えた。彼女は勉強が苦手な方で俺は自分で言うのもなんだができる方だった、から勉強を教えることを口実に話すこともできた。班長だかをやらされた時に席をいじって隣になるように操作したこともあった。この頃が一番幸せだったのかもしれない。中3で告白した。いや、正確には暴発した、という方が正しいと思う。彼女とLINEで会話していた時に好きな人の話になったんだかなんだったか、正確なことはもはや思い出せないが突然気持ちが制御できなくなり、好きだと伝えた。ムードもクソもないし明らかな失敗だということは明確だった。彼女からの返答は「今はそういうの考えられない」と。これで失恋できれば何の問題も無かったんだろうと思う。けども忘れられなかった。

 高校も同じ高校に入った。彼女はバスケを続け、俺は放送局に入った。彼女は文系で俺は理系、当然会う機会も減った。それでも時々話はしていた。文化祭の時、彼女と一緒に花火を見て、そのあと一緒に歩いて帰った。どちらも二人でではなかったが。途中から二人きりになった。別れ際、彼女を呼び止めた。…何も言えなかった。多分これが人生の分岐点だろう。多分直接想いを伝えて、それでしっかり振ってもらうのが最善の選択だった。できなかった。今でも正直後悔している。それからも連絡を取ったり、時々一緒に帰ったりはしたものの何もなかった。俺は恋心を風化させることに努めた。そうやってこの恋が終わった。いや、終わらせた。

 

 今恋ができずにいるのがこの恋への未練なのか、長すぎた恋で拗らせたのか、はたまた自分に絶望したか、もしくはそのすべてか、俺には未だにわからない。